ルリタテハは、濃紺に鮮やかな瑠璃色の帯を纏うタテハチョウの仲間。
花の蜜よりも、樹液や鳥などの糞がお好みのようだ。
成虫のまま冬を越し、早春から雑木林を飛び回る。越冬した個体は翅がボロボロになっていることも多い。厳しい冬を乗り越えた証である。
ルリタテハの基本データ
学名:Kaniska canace
漢字名:瑠璃立羽
大きさ(開帳):50~65mm
成虫の見られる時期:3~11月
分布:北海道・本州・四国・九州・沖縄
食べ物:幼虫-サルトリイバラ・ホトトギスなどの葉
成虫-樹液や動物の糞
冬越し:成虫越冬
自然公園のベンチ裏で越冬中のルリタテハ。翅を合わせて片側に倒し、寒さを耐え忍んでいる様子が健気である。雨はしのげても風は通る場所であったが、2か月ほど同じ場所にいた。
ルリタテハは縄張り意識が強いので、一度飛び立っても同じ場所に戻ってくる。近づきすぎて逃げられてしまっても、じっとその場で待っていれば観察チャンスは訪れる。
幼虫は毒々しい見た目だが、触っても害はない。サルトリイバラやホトトギスの葉を食べて育つ。写真はサルトリイバラの葉上。
毒はないので、手乗りさせても問題はない。触れ合った後は、元の場所に返してあげよう。
ルリタテハの卵は若葉色に白い縦縞で、これもまた美しい。産みつけられる場所は、もちろんサルトリイバラの葉だ。
こちらもルリタテハの卵だが、先ほどの写真とは違うところがあるのにお気付きだろうか?
先ほどの写真はサルトリイバラの葉の表、こちらの写真はサルトリイバラの葉の裏に卵が産みつけられているのだ。植物の種にはこだわるが、葉の表と裏にはこだわりがないのだろうか?
ルリタテハの1齢幼虫。まだ体が透けていて、棘のような突起はない。幼虫は食草の葉の裏にいることが多い。
このルリタテハの幼虫は、おそらく3齢だろう。
手の届かない高さにあるサルトリイバラの葉裏で、どうも様子がおかしいルリタテハの幼虫を見つけた。腹の下あたりに白いものが見える。
調べてみると、これはタテハサムライコマユバチというハチに寄生された幼虫のようだ。
タテハサムライコマユバチはルリタテハの幼虫に卵を産み付ける。卵から孵るとルリタテハの幼虫を中から食べて育ち、大きくなると外に出て繭を作る。
この間もルリタテハ幼虫は生きており、出来上がった繭を守るかのように上から離れなくなる。上の写真はまさにその時だろう。
ルリタテハの幼虫は、身体を食べられた相手を守りながら、やがて死ぬことになる。
別の日にサルトリイバラの葉裏で見つけた、タテハサムライコマユバチの繭。すでにルリタテハ幼虫の姿はなく、コマユバチもほとんど抜け出た後のようだ。