ハラビロカマキリは、名前の通り腹部の幅が広いカマキリの仲間。通常は緑色をしているが、稀に褐色型のハラビロカマキリも現れる。
ハラビロカマキリは樹上性が強いが、同じような獲物を狙うオオカマキリが草地を好む為に、住み分けをしているのかもしれない。
ハラビロカマキリの基本データ
学名:Hierodula patellifera
漢字名:腹広蟷螂
大きさ:45~68mm
成虫の見られる時期:7~12月
分布:本州・四国・九州・沖縄
自宅の壁にハラビロカマキリが産卵をしていた。写真ではわかりづらいのだが、産んだばかりの卵鞘は爽やかなブルーであった。
卵鞘は、時間が経つと茶褐色となる。
自宅に産みつけられたハラビロカマキリの卵鞘で、孵化の観察をすることができた。カマキリは前幼虫という状態で卵から出ると、すぐに1齢幼虫へと脱皮をする。1齢幼虫は、すでに私たちの良く知っているカマキリの形をしている。
ハラビロカマキリの幼虫は、お尻を持ち上げた独特のポーズをとる。敵を威嚇しているのだろう。
ハラビロカマキリの頭部をアップで。
カマキリの複眼には黒い瞳のようなものがあり、こちらを睨んでいるかのように見える。しかも、どの方向から見ても黒い瞳の視線は追いかけてくるのだ。
この黒い瞳は、私たちの瞳孔とはまったく別の物だが、瞳孔のように見えることから偽瞳孔と呼ばれる。常にこちらに視線があるように見える仕組みはこうだ。
黒い粘土の球に、隙間なくストローを刺していく。球の表面全てにストローを刺すと、ストローと自分の視線が真っ直ぐにならないと、底の黒い粘土を見ることはできない。こちらが見る角度を変えれば、それに合わせて底が見えるストローも変わるハズだ。
カマキリの複眼は細長い筒状の個眼の集まりで、これがストローだ。個眼の底は光を反射しないので黒く見える。これが粘土。個眼と自分の視線が真っ直ぐにならないと黒い底を見ることはできない。底が見えている部分だけが、あたかも瞳のように見えているのだ。