遠くから聞こえてくる「ケケケケケケケケ…」という鳴き声が、暑い夏にひと時の清涼感を与えてくれる。声の主は、セミの仲間のヒグラシである。
ヒグラシの聞きなしは、一般的に「カナカナ」が用いられるが、個人的には「ケケケケ」を推したい。
「日暮」という名前や、テレビ等で夕暮れの効果音として使われるイメージからか、夕方にしか鳴かないセミと思われるが、そんなことはない。ヒグラシは、早朝にも鳴くし山林では日中でもよく鳴いている。
ヒグラシの基本データ
分類:動物界 節足動物門 昆虫綱 半翅目(カメムシ目) ヨコバイ亜目 セミ上科 セミ科 セミ亜科 ホソヒグラシ族 ヒグラシ属 ヒグラシ
学名:Tanna japonensis
漢字名:日暮・蜩・茅蜩・秋蜩・晩蟬
別名:カナカナ
大きさ:41~50mm
成虫の見られる時期:6月~9月
分布:北海道・本州・四国・九州
学名:Tanna japonensis
漢字名:日暮・蜩・茅蜩・秋蜩・晩蟬
別名:カナカナ
大きさ:41~50mm
成虫の見られる時期:6月~9月
分布:北海道・本州・四国・九州
スギやヒノキなどの針葉樹に囲まれた山梨県のキャンプ場で、ヒグラシの羽化を見ることができた。
アブラゼミやミンミンゼミの羽化は何度も見てきたが、ヒグラシの羽化はこの時が初めてだと思う。
まだ薄暗い早朝に「ケケケケケケケケ…」というヒグラシの大合唱が響き渡り、すっかり目が(ついでに前の晩の酔いも)覚めてしまった。いつもは心地よく感じていた鳴き声も、この時ばかりは「ちょっと五月蠅いなぁ…。」と感じてしまった。
俳句では秋の季語にもなっているヒグラシだが、実際には真夏に鳴くアブラゼミやミンミンゼミよりも早い6月末頃から成虫が現れて鳴いている。ヒグラシは、その特徴的な鳴き声でとてもメジャーな昆虫ではあるが、実際の生態はあまり知られていないのかもしれない。
ジョロウグモの網に引っ掛かってしまったヒグラシ。
ヒグラシのお腹の先は、雄も雌も白いのが特徴だ。透明な翅なので、捕まえなくても確認がしやすいだろう。