レヂヲのいきもの図鑑では、ワタシが実際に出会ったいきものを紹介しています。現在172種を紹介中!
アオイスミレ

アオイスミレ

アオイスミレ
2023年3月神奈川県川崎市

日本に自生するスミレの仲間は、60種以上もあるという。違いがわずかなものも多く、見分けるのは難しい。

上の写真は3月初旬に撮影したが、ちょっと早めに咲いたタチツボスミレだろうと思っていた。

しかし、よく調べてみるとアオイスミレであることがわかった。

アオイスミレの基本データ

分類:植物界 被子植物 真正双子葉類 コア真正双子葉類 バラ類 マメ群 キントラノオ目 スミレ科 スミレ属 アオイスミレ
学名:Viola hondoensis
漢字名:葵菫
花の見られる時期:3~4月
分布:北海道・本州・四国・九州

柱頭(めしべの先)がカギ状に曲がっていることや葉や花柄に毛があること、若い葉の端が包まることなどが、アオイスミレの特徴ということらしい。

アオイスミレの柱頭
2023年3月神奈川県川崎市

少し見にくいが、柱頭が下に折れ曲がっているのがわかる。花柄の毛も確認できる。

アオイスミレの花
2023年3月神奈川県川崎市

上の2枚の花弁がウサギの耳のように立っている。両サイドの2枚はあまり開かない。

アオイスミレの距
2023年3月神奈川県川崎市

アオイスミレの距(花の後ろのクルッと巻き上がった部分)。ここに蜜を溜め込んである。

アオイスミレの葉
2023年3月神奈川県川崎市

葉は丸っこいハート型(心形)で、両面に毛がある。右に写っている葉の両端がクルッとしているのがわかるだろうか。

 

スミレの仲間はほとんどが春に咲くことも、スミレの見分けを難しくしている一つの要因だと思う。アオイスミレは、他のスミレよりもひと足早く咲くことも、見分けのポイントになりそうだ。

また、アオイスミレはニオイスミレの近縁で花が香るようだが、ワタシには感じられなかった。

 

さて、スミレの仲間の果実は朔果と呼ばれるタイプで、乾燥して種を遠くへ弾き飛ばすという特徴がある。

飛ばした種には「エライオソーム」というおまけ・・・がついていて、これはアリのご馳走となる。その為、アリは種を巣に運び込むワケだ。

ご馳走を頂いていらなくなった種は、巣の近くに捨てられる。こうして、スミレの種はひろく撒かれることになるのだ。

しかし、アオイスミレの果実は少し形が違って、種を弾き飛ばすことができない。

その代わりに、他のスミレよりもエライオソームが大きくなっている。アリだけに種を撒いてもらう分、多めのご馳走を用意したのだろう。

このように、見た目は身近なタチツボスミレによく似ているアオイスミレだが、一風変わった特徴を持っているようだ。

スミレ科の最新記事4件